春の山菜の中で、とりわけ好きなのがふき。
優しいほろ苦さと、シャキッとした食感。
今の季節しか味わえない贅沢です。
そんなふきのあく抜きの方法って、何が正解?
Webで時短の方法をよく目にするけれど、
そもそもふきから抜きたい、あくの正体は?どうやったら、あく抜き効果を高められる?
ふきから取り除きたい成分とは?
強いえぐみや苦味の原因となる植物のあく。
ふきの場合、時短でやっても、えぐみや苦味で食べれないことはありません。
そんなふきですが、除きたい成分がありました。
その名は、ピロリジジンアルカロイド類(PAs)。
キク科やムラサキ科の植物に含まれます。
東京都保健医療局によると「長期間、過剰に摂食すると肝障害等を引き起こすとされ、ドイツやオーストラリアなどでは、PAsの摂取量の基準を定めています。」
今のところ、日本では PAs による健康被害は報告されていません。
ちなみに、欧米でPAsが注目されるきっかけとなったコンフリーは、国内でも販売が禁止されています。
効果的なあく抜きのポイント
ふきは1回に食べる量が多くないから、過剰摂食はほとんどなし。
旬も限られているので、長期間食べることはなし。
けれど、肝毒性がある成分は、なるべく取り除いて体への負担を減らしたいです。
東京家政学院大学らの研究結果から明らかとなった、PAsの量をグンと減らすポイントは次の2つ。
- 3分ゆでる
- 6時間水にさらしておく
この2つで、劇的に減るPAs。
ふきの茎(葉柄)の部分のPAsの残存割合はあく抜き前の0.16に!
農林水産省のパンフレットには、ゆでる前の板ずりをしたり、さらす水に塩や酢を入れても効果は変わらないとありました。
ふきの葉は?
前から気になっているふきの葉の料理。
しっかりとした葉は、あくが強そうで尻込みしていました。
PAsの値も高いのではと思い見てみると、茎の部分が約9.0mg/kgなのに葉は1.0mg/kg 以下と予想に反してとても少ない!
小泉武夫先生の食マガジンに載っているレシピを試そうと思います。
大きめのふきの葉を熱湯で5~7分ゆで、半日水につけて苦味を抜くとありました。これで少量のPAsも問題なしですね。
まとめ
数少ない日本原産の野菜、ふき。
昔からしっかりとあく抜きをしてきたのが、体にやさしく春の味覚を食す秘訣だったんですね。3分ゆでて6時間水にさらすをまもって、これからも美味しくいただこうと思います。
<参考資料>竹中 真紀子ら, 2023, フキ (Petasites japonicus) の葉柄および花穂の調理によるピロリジジンアルカロイド類含有量の変化, 日本家政学会誌, 74:555-567;東京都保健医療局 クワズイモ |「食品衛生の窓」東京都保健医療局 (tokyo.lg.jp);農林水産省, フキ中のピロリジジンアルカロイド類の低減に関する調査研究, 3006_gaiyo.pdf (maff.go.jp);農林水産省, ふき・ふきのとうはあく抜きして食べましょう, pa_fuki_flier.pdf (maff.go.jp)