Pura Vida Days

自然、豊かさに導くインスピレーションの源泉(クロード・モネ)

オトギリソウ:鷹匠逸話は本当?語源の新見解!?

初夏に明るく咲く小ぶりの黄色い花。

よく見ると、黄色い花びらにはごくごく小さな赤い透明の点がちらばっています。

赤い透明の光が反射して、より一層輝いて見えるオトギリソウ。

セントジョンズワート(和名:セイヨウオトギリソウ)と同じテリハボク科オトギリソウ属ですが、種がちがいます。

オトギリソウの名の由来とは?

セイヨウオトギリソウ

在来植物のオトギリソウ。

その名の由来として、よく聞く逸話が平安時代鷹匠にまつわるもの。

日本の大百科事典の元祖ともいえる江戸時代に書かれた寺島良安の「和漢三才図会」(1713)。この書物に「弟切草」と記述されているそうです。

平安時代に春頼という鷹匠が、鷹の傷を治すのに使っていたオトギリソウ。

他の人には教えずに秘密にしていたのに、弟がその薬効を漏らしてしまいます。

腹を立てて弟を切ったことから、その植物はオトギリソウと呼ばれることになったというエピソードです。

確かに、傷を治す力をもつオトギリソウ。

鷹匠の話しはもっともらしい。

けれど、どこか違和感を覚えました。

オトギリソウの昔話があると知って読んでみることに。

一つは、山形の昔話。中の良い兄弟が、一人の女性をめぐって争いとなり弟が切られてしまった。弟の墓のうえに咲いた花がオトギリソウ。兄が悔いて墓参りをするのを神様が見て、切り傷の妙薬になったというお話しでした。

セッティングは違うけれど、弟をあやめる点では鷹匠の話しと同じです。

オトギリソウの花びらをもむと赤くなりますが、それはすっきりした赤色。

第一、あの可憐で元気のいい花と、人をあやめる話しは結びつかない。

そんなとき、「日本で伝説に由来する説は眉唾なものが多く、真偽は定かではない。」

との記述に「語源由来辞典」で出会いました。

鷹匠の伝説によってオトギリソウと呼ばれるようになったのであれば、それ以前の名前もあるはずなのに、弟が他人に明かした薬草の名は記されていないと。

「語源由来辞典」が展開しているオトギリソウの語源説は、花の寿命が1日であることから「ヒトヒギリ(一日限り)」、「フイトギリ」「ヲトギリ」と移り変わって「オトギリソウ」となり「弟切草」の漢字が当てられた、というものです。

きっとそうに違いありません。

すっかり気に入って、個人的に「ヒトヒギリ」語源説を採用することにしました。もし、新たにオトギリソウに漢字を当てることができたら。。。

「音霧草」にしたいな、と思います。

 

<参考資料>野村 純一、松谷みよ子(監修), 2001, いまに語りつぐ日本民話集 [第1集]4, 作品社;増田和夫, 2006, 自分で採れる薬になる植物図鑑, 柏書房オトギリソウ | 公益社団法人 日本薬学会 (pharm.or.jp)「オトギリソウ」の意味・語源・由来を解説 - 語源由来辞典 (gogen-yurai.jp)